デザインの試作品を見た社長は苦笑い。諦めずに改良を重ねて完成させた機能性とデザイン性をもったヒーターベストの開発秘話

これからの冬の時期に寒さ対策として活躍するのがヒーターベスト。
ヒーターベストは、寒い環境での防寒対策として作られたヒーター内蔵のベストです。モバイルバッテリー電源でヒーターが発熱をし、電熱線を通してベストが温まり、上半身を温めてくれます。

2023年9月末発売予定のヒーターベスト

これまでは屋外での仕事時や作業時に使用されることが多く、一般的や普段使いではなじみのない製品でした。弊社(サンコー)でも大半が業者向けに販売をしていましたが、今年は一般の方にも普段使いが出来るようなデザインがいいという声が出たことから、デザインを一新し今年モデルが販売となりました。

企画部の野崎さん

身体をしっかり温める機能性と、普段使い出来るデザイン性の両方を兼ね備えて改良を重ねて登場したのが今年の2023年モデル。

今回は、THANKO(サンコー)のヒーターベストのプロジェクトリーダーにインタビューをしました。

今回インタビュー相手


野崎さん
ヒーターベストのプロジェクトリーダー。大学在学中からアパレル業界で4年ほど働いた後、コロナをきっかけにサンコーの商品企画部へ入社。これまでの経験とファッション好きの強みを生かし、布製品を主としたサンコー商品の開発・デザインを担当。

 

第1章:今年モデルを考案するきっかけ

今までもサンコーでヒーターベストを開発してきましたが、今年のモデルはどういった観点で開発がすすめられたのでしょうか?

野崎さん―――――
昨年発売したポケットまで温かい「洗えるヒーターベスト」は産業向けをメインに販売していたので、それ以前の既存品と同様、デザインもその仕様に合わせていました。しかし昨年、営業部の方々からデザインはもっとスタイリッシュに、そして生地はもっと丈夫なものにしたらどうか?というフィードバックをもらったのが今年モデルのデザインのきっかけになりました。

第2章:機能面の進化

■ヒーター

ベスト内蔵のヒーターがこのベストの大きなポイントだと聞きました。
前面2箇所、背面3箇所にヒーター搭載

野崎さん―――――
ヒーターの内蔵数と配置箇所のセンスは自身があります。他社の製品を調査すると、ヒーター部分はたいてい1~2箇所の製品が多いんですよね。うちはけっこう前から5箇所にヒーターを内蔵してるのでそこが強みです。

5箇所のヒーターの配置場所のそれぞれ理由はなんでしょうか?

野崎さん―――――
まずは前ポケットの中にヒーターが内蔵されているので、かじかんだ手を入れれば冷え切った手を温めてくれます。またお腹周りも温められるのでお腹が冷えがちな人にも嬉しい仕様だと思います。腰は他社製品でもほぼ必ず配置されているマスト箇所です。

肩部分のヒーター配置は今回初ですよね。

野崎さん―――――
そうですね。昨年モデルはヒーターの位置が肩ではなかったのですがこれには裏話があって…
ある日、企画部の上司が「おじちゃんは肩が寒いんだよ~」と言いながら既存品を改造し始めて、完成したものを僕に見せてきたんです。
「これあったけぇよ~~~」って(笑)。それが肩部分にヒーターをつけたものでした。そこからアイデアを得ました。

■生地

生地はアウトドアブランド製品でよく使用されるリップストップ生地を採用したそうですね。

野崎さん―――――
僕が特にこだわったのが撥水性です。長く愛用してもらうために耐久性が高く、防汚性に優れた製品にしたかったので取引先から何種類も生地を取り寄せて熟考しました。
そして選んだのがリップストップという生地です。これはテントやリュック、有名アウトドアブランドのダウンジャケットなどタフなシーンで使用されるのを想定した製品でよく使用されていて僕が求めていた条件にぴったりの生地でした。

特徴①格子状に織り込まれてほつれや破れに強い生地
特徴②撥水加工されているので、防汚性に優れている
生地を改良したら販売価格もあがりますよね?
イチからデザインを見直し、修正を繰り返した。

野崎さん―――――
取引先と交渉を重ねつつ、デザインの細かい要素を見直して縫製と副資材の無駄を最小限に抑えたことで原価を抑えることが出来ました。本来だとおそらく製品の販売価格が1.2倍ぐらいにはなっていたと思います。

■デザイン

デザインは相当のこだわりがあるそうですね。ベストの上からスーツを着用した際の見え方までこだわったとか。
ジャケットやアウターの下から見えても自然なデザイン

野崎さん―――――
僕の前職がアパレル業ということもあり一段とこだわりました。
営業部からのミッションだった”日常でも使えるデザイン”に応えて極力、無駄を省いたミニマルなデザインにしました。ジャケットなどと合わせた着用も想定して、胸周り(Vゾーン)の見え方にもこだわりました。

洋服の上からも羽織って着用してもかっこいいデザインですね。

野崎さん―――――
脇の部分のデザインを改良し、アームホールの太いオーバーサイズの服を着用する時にも、脇がごわつかないようにサイズ感を調整しました。仕事でも日常でも着用できる2WAYデザインです。

■中綿の量

去年モデルより分厚くなって暖かそうに見えます。

野崎さん―――――
中綿の量を33%増量しました(昨年モデル比)。これによって保温性能が向上し、ヒーターの温かみをより感じることができます。厚みも昨年モデルに比べて増えたので身体へのフィット感も感じやすくなっていると思います。

(左)2022年モデル:(右)新製品2023年モデル

第3章:試作とテスト

今年モデルを販売するにあたって二度大きな挫折があった野崎さん。

試作のデザインの初披露の際に社長は苦笑いだったそうですね。
(左)試作品:(右)2023年新製品 

野崎さん―――――
デザインの大幅なリニューアルを図り、ジャケットに合わせるのを想定したトラッドなデザインのサンプルを会議に持って行ったんです。その時の社長の反応は苦笑いでした、つまりNOです(笑)。ただ競合他社との差別化を図った部分は認めていただけた様で「気持ちはわかるよ~」って気を遣ってくださいました(笑)。

フラップポケットと、胸元のダーツでトラッドな印象

このデザインでGOサインは出なかったので、昨年モデルとこのデザインの良いとこどりをして今年のデザインが誕生しました。

ヒーターの稼働テストは拷問の様だったとお聞きしましたが…一体何があったんでしょうか?
【再現】12リットルの水を背負って業務をこなす様子

野崎さん―――――
肩部分にヒーターを入れるのはリスクもあります。それは断線です。そこで肩部分にヒーターを内蔵した試作品を着用し、2リットルのペットボトル6本をしょいながら普段の業務を行いました。僕が華奢な体型なこともあり身体的にかなりしんどかったです。ちなみにこの拷問の様なテストを2週間続けました。

第4章:今後の展開

改良を重ね、こだわりがつまったこのベストをどんな方に着用してもらいたいですか?

野崎さん―――――
いままでヒーターべストを着用したことがなかった人にも着ていただけたら嬉しいです。
ヒーターベストってまだ一般の方には、そこまで馴染みがないと思うんですが、そんな方たちにも手に取ってもらいやすいようにデザインをしたのでぜひ着てもらいたいですね。そして何より暖かさとその持続性を体感してもらいたいです。室内でも屋外でも暖かさを実感できます。また最近は電気代がどんどん高騰しているので、ヒーターベストは電気代節約の手助けになればなと思います。

最後に一言

発売まで楽しみに待っててください

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