夏のお風呂上がりが暑い!汗だくな体を瞬時にクールダウンするライドオン扇風機【開発ストーリー】

それは一人の社員の思いつきから始まった。

2021年6月頃から実に約2年ほどの歳月を経て販売に至った「のれる扇風機」。
「お風呂上がりの火照った身体を一気に冷やす」という 狂気的 画期的なコンセプトで、市場に新たなジャンルを生み出すべく動き出した唯一無二の商品。
その誕生までの道のりには開発者の技術と努力、諦めない心がありました。

企画部の新村(左)と南(右)に話を聞いた
企画部の新村(左)と南(右)に話を聞いた

今回のサンコー企画部による開発者ストーリーは、人が乗れる扇風機というあまり他に類を見ないジャンルの家電の開発から販売に至るまでの経緯をご紹介。
TVにも何度か出演経験のある企画部の新村を中心に「のれる扇風機」への想いを語ってもらいました。

開発のきっかけはお風呂上がりの暑さ

風呂上がりのあの暑さをどうにかしたい!

筆者:それではまずは開発しようと思ったきっかけについて聞いていきたいと思います。
この商品は新村さんがスタートさせたそうですが、何かご自身の体験などに開発のきっかけがあったんですか?

新村
そうですね、私自身お風呂が好きで湯船につかってゆっくりするのが日課なんです。
ただ夏場などは外気温も高いし室内も蒸し暑いので、お風呂上がりの脱衣所なんかはもう汗だくになってしまうんです。

筆者:ああ、すごい分かります。せっかくお風呂でキレイに洗ったのに大量に汗かいちゃうから損した気になります。

新村
でしょ?だから今までは銭湯みたいに扇風機を脱衣所まで運び込んで涼んだりしてたんですが、自分ちの脱衣所だと扇風機を入れるスペースが無いからめちゃくちゃ邪魔だし、風の当たり方もイマイチだったんです。
そこで、邪魔にならず全身に風を送って涼むことができる製品が欲しいなと思ったのが始まりです。
筆者:なるほど~。ご自身の体験から開発をスタートさせたのがよく分かりました。
そういったニッチな需要から広げて商品を作るのもサンコーの強みですからね。

とにかく作ってみた

試作品1号機
新村
最初はスノコの下にファンを入れてみては?という事でプロジェクト名はスノコファンでした。
筆者:スノコファン…なんだかアナログな感じですね(笑)でも何だか面白そうで気になるプロジェクトです。
新村
スタートもそうですが、試作品なども自分で考えて自分で作りました。
試作品の1号機は風量は強かったのですが中央付近の風が弱かったり、サイズが大きすぎたりでボツ。
やはりユーザー目線で「こんな大きいモノは洗面所に置けない」「床のゴミが舞い上がるのでは?」といった心配を払拭する必要があったので、小型化&床のゴミを吸わない構造にする事を目指しました。
筆者:試作品の段階から自作して検証なども繰り返したんですね。それは大変そう…

メディアによる取材が勢いを加速

筆者:この商品の開発は新村さん発案でスタートして試作や検証などもご自身で進めてきたという事ですが、会社的にはどういった立ち位置だったんでしょう?やはり期待を込められていたんですか?

最初は正直あまり会社からリアクションなかったですよね。
新村
いや~~そうなんですよ。あまり期待されていませんでした(笑)
まぁ、ある意味で気が楽でしたけどね。
筆者:ええっそうなんですね!それなのにどうやって開発から2年もかけて販売までこぎつけたんですか?
新村
それがある時にTV番組でサンコー特集を組んでもらった際に開発中の商品として「のれる扇風機」も取り上げてもらったんです。
Twitterなどでもけっこう反響があったみたいで。
で、社長がそれを見て興味を持ってくれて(笑)本格的に開発が進みだしたのはそれがキッカケです。
筆者:あーなるほど。TVで取り上げられたおかげなんですね。なかなか波乱万丈な幕開けです。
ちなみにTOKIOの城島さんや千鳥の大吾さん、元AKB48の峯岸みなみさんにもTVで試乗してもらったんです。
そういった方たちのコメントもモチベーションにして開発が進められた事に感謝しています。

商品のこだわり

筆者:それでは今度は商品のこだわりやおすすめポイントなどを伺っていきたいと思います。

防水設計なので濡れたまま乗れる。さらに気化熱で涼しい。

新村
当たり前ですが一番おすすめしたいポイントはお風呂上がりの火照ったカラダを下から上まで効率よく冷ましてくれるところです。
防水なのでお風呂上りに濡れたままでも乗れますし、むしろ気化熱でより涼しく感じるので気持ちいいですよ。

筆者:たしかにそもそもの商品コンセプトですもんね。

あとは乗るだけで電源が自動オンになるところもこだわりました。
やっぱりお風呂上りにいちいちスイッチを押すのも面倒だし、腰などが悪くてかがむのが大変な人もいますからね。

筆者:それは嬉しい!乗ったらすぐに使えるのはとても素晴らしいと思います♪

流体力学に基づいたベストバランス

新村
さらにより効率よく風を送るために流体力学に基づいて設計もしました。
風量や範囲などを調整し、全身を効率よくクールダウンできるようデザインされています。

筆者:り…りゅうたいりきがく。なんだかすごそうですね。

簡単にいうと流体(気体や液体)の動きや挙動を研究する物理学の分野です。
圧力や速度、密度などの物理量を用いて流体がどのような状態で流れるかを予測しています。

流体力学の研究

筆者:なるほどー。言葉の意味はわからんがとにかくすごそうです!

流体力学は自動車工学や航空宇宙工学、天気予報や建築学など幅広い分野で応用されているんですよ。

筆者:そうなんですね!実はけっこう我々の生活の身近でも活用されてるんですね。

新幹線や自動車工学にも用いられる流体力学

苦労した点

大きさ・コストの壁

筆者:商品開発は色々な苦労もあったかと思います。
具体的にどのような苦労があったか教えていただけますか?

うーん色々ありますが、一番はやっぱり小型化とコストダウンですかね。
小型化するとなると風量が犠牲になりやすいんですが、そこはキープしたい。となるとどうしてもコストがかかるので、ダブルスタンダードな課題が立ちふさがりました。
筆者:確かに小型化しつつ機能もブラッシュアップするとなるとコストもかかりそうですもんね。
過去の施策品から完成品まで(古い順から①→④)
新村
最終的にはなんとか風量はキープしつつ体重計ぐらいの大きさまでサイズダウンして、価格もなんとかギリギリまで抑えることに成功しました。
筆者:こうやって並べてみると違いが明らかです。
最初の試作品➀から比べると完成品④はふた回りぐらい小さくなっています。これも企画部の苦労の賜物なんですね。

円安により一度は諦めかけた商品開発

新村
実は販売を完全に諦めかけた時があったんですよ。
筆者:えっ!それは由々しき事態ですね。詳しく教えてください。
新村
数年前から進んだ円安によってコストが爆上がりしてしまって、どうにも開発が進めない状況に陥ってしまったんです。
筆者:むむ…それは確かにかなり高い壁ですね。円安によるコストアップはどうしようもないですもんね…
そんな危機を乗り越えて商品化までこぎつけたお二人には頭が下がる思いです。
このままだと商品価格が3万円台になりそうな時もありました。それだとさすがに高すぎますからね(苦笑)
なんとか12,800円まで下げられたので、ぜひ買っていただきたいです(笑)

こんな人に強くオススメ!

筆者:それでは最後にこの商品をどのような人に届けたいか聞いてみました。

暑い時期に汗をかきながら髪の毛を乾かしているすべての人に

新村
自分と同じように夏の暑い時期のお風呂上りに、汗をかきながら髪を乾かしている人たちです。
男性はもちろんですが、女性の方もドライヤーなど何かと時間がかかる方もいらっしゃると思うので、おすすめしたいです。
歯磨きなどの際に使うのもよさそうですよね。
他にも玄関に置いておいて帰宅したらすぐに全身クールダウンしたり、トイレに置いておいてもいいかもしれません。
あとは最近だとテレワークの方も多いのでデスクの下に置いておいて、暑い時に踏んでいただくのも便利です。

筆者:基本的には脱衣所や洗面所に置いていただくのがスタンダードなんでしょうが、色んな場所に置いておくのも便利かもしれませんね。
使い方は人によっていろいろ広がりそうです。

銭湯やトレーニングジムなどでも活躍しそう

新村
銭湯やトレーニングジムにもこういった商品があると便利だと思うので、ぜひオーナーさんにはご検討いただきたいです(笑)
火照ったカラダをクールダウンできるという機能には自信を持っているので、ご家庭はもちろんですが、様々なお店や企業にも幅広く波及すると嬉しいです。
筆者:銭湯などには扇風機が置いてありますもんね。その代わりに「のれる扇風機」があっても面白そうな気がします。
他社ではなかなか無い商品だと思うので、少しでも気になった方は使っていただいて、TwitterなどのSNSで評価を教えて欲しいです。
お手柔らかにお願いしたいですが…

筆者:のれる扇風機は実際の体験や悩みから生まれた商品です。
もしアナタも同じような悩みをお持ちでしたら絶対に損はしないと思いますので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。